漢字に魅せられて
更新日時:
2005.01.30 Sun.
日本語を勉強するにあたり避けては通れない関門、それは漢字である。漢字に対して、外国人の反応は真っ二つに別れるという。「こんなものは文字ではない。悪夢だ!」と全くの拒否反応を示す人と、漢字に魅せられて「漢字おたく」になってしまう人と。実はPAULはなにを隠そう、後者の「漢字おたく」なのである。
PAULの漢字との出会いは意外と古い。高校時代、アリゾナの自宅にホームステイした日本人に教えられて以来のことだ。(実はこの時に箸の使い方を会得した。)こんな複雑な文字をいとも簡単に書ける日本人学生に彼はいたく感激したらしい。しかし、それから習得する機会もなく、勤めていた高校では、アリゾナ在住の日本人から寄贈された書道の額が逆さに飾られていたのを、留学生に指摘されるまで全く気がつかなかったほどの漢字音痴ぶりではあった。
漢字を本格的に勉強し始めたのは来日を決めてから。来日後も毎日一生懸命練習した結果、そこら辺の小学生よりは書けるようになったのである。昔、英会話を習いに来ていた小学生がライバル意識丸出しで、習ったばかりの漢字を、PAULに出題していたのを思い出す。PAULが書けると悔しそうにしていた彼女ももう高校受験だ。月日がたつのは早い・・。
しかし、漢字はやはり難しい。何故、極道は「ごく」で、極端は「きょく」なのか。田舎(いなか)の「な」は田に付くのか舎に付くのか。そもそも辞書には田を「い」と読むなんてどこにも書いていないではないか。彼の悩みは尽きない。
傍らにいる私も大変だ。例えばテレビを見ていてテロップが出るとする。私は内容を把握したとたんに文章自体が頭からすっと出て行ってしまうのだが、PAULは違う。漢字だけが頭に残っているのだ。そしてどういう意味か私に聞くのだが、悲しいことに私は覚えていない。それもただ聞くのではなく、読み方を創作して読んでくれるので、推測しようにも全くお手上げだ。
先日テレビに木元教子さんが出演していた。テロップを見たPAULは質問する。
「あれはきょうこ?」
「ううん、のりこ・・。」
PAULの苦悩の日々はまだまだ続く。