なぜ家では靴を脱ぐの?
アメリカの小学校で子供たちに日本のことを話す機会があった。そのときに発せられたのがこの質問。
思わず絶句してしまった。こんな当たり前のことがわからんのか。しかし、なぜ当たり前なのか。
どうもアメリカ人は靴を脱ぐのは、単なる習慣だと思っているような節がある。もっと思慮深い人は、得意げに言うかもしれない。「わかった。リラックスするためだよね。」と。
それもあるけど、大切なことを忘れている。「不潔だからだよ~!」
この不潔というのが、なかなかわかってくれない。そもそも彼らには、外は汚くて家はきれいという観念がないらしい。洋画を観ていてると靴のままベッドに倒れこむシーンがよくあるが、その瞬間からストーリーよりもそっちのほうが気になってしまう日本人は少なくないのではないだろうか。
我が家にもたまにアメリカから客が来る。彼らは、家に入る前に靴を脱ぐというのは、すぐ覚えてくれるが(たたきもあるし。)、そもそも脱ぐ意味がわからないので、ふと気がつくと、部屋の中に、靴が底を下にして置いてあったりする。スーツケースの中に靴をむき出しでしまう彼らに、新聞紙を敷いて置くなどという行為を期待してはいけない。靴を廊下で履こうとするので、注意すると今度は裸足で出て行ってしまった。(なんせ玄関が狭いので・・・。)大和撫子の私は、「その足で戻ってこないでね~。」とは言えない。ま、本当は私もそこまで神経質ではないんだけどね。
アメリカでは、裸足で銀行に来ていた若い女性を見た。車から降りるとき面倒なので、そのまま来てしまったのだろう。家の中でもスニーカーで歩いている人の横で寝転んでいる人がいるのはごく普通の光景だ。下に落ちたあかちゃんのおしゃぶりを、母親がまた何事もなかったかのように口に戻すという驚くべき光景も目にした。
規則で、訪問家庭ではけっして靴を脱いではいけない会社というのがあるらしい。(修理会社とか保険会社とか。)そのことで、よく在米の日本人の家庭とトラブルになるということも聞いた。
では、日本に住む外人たちはどうか。靴を脱ぐということの快適さ、清潔さに気がついた彼らのほとんどは、もう家の中での靴は考えられないとのことである。