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ネイティブスピーカーは英語完璧?

 最近、大手の掲示板で興味深い討論を読んだ。「I love you.」と言われたら「Me too」か「You too.」か?というものである。そこではyou too派とme too派、どちらも正しい派、どちらも間違い派が入り乱れて、それぞれが相手をののしりあいながら自分たちの持論を展開していたのだ。

 

 私がおもしろいと思ったのは「私のアメリカ人の彼が言っていました。」「私はアメリカで育ったので英語ネイティブです。」「私はアメリカの大学院生です。」「夫がイギリス人」などそれぞれが自分がネイティブかそれに近い、或いは親しいネイティブに聞いたと、それはそれは自信たっぷりなのである。「I like English.」「Me too.」の例のようにMeは目的語を表すわけではないという1番有力な説、また、ある投稿者は英語ネイティブの彼氏に彼女が「Me too.」と言ったら「Oh,you love you,too?」と大笑いされたという体験談を披露した。他にもさまざまな例がもっともらしい解説つきで列挙さていた。何故これほど意見が分かれるのだろうか。

 

 ここでわかりやすく日本語の例を出してみよう。若者が普通に使っている「全然おいしい。」というのは間違いか?ほとんどの人は間違いだと断言するだろう。全然の後には否定形が来なければならないからだ。しかし、明治時代の文豪、国木田独歩や夏目漱石は肯定文に使用していた。彼らは誤って使用していたのだろうか。

 

 今手持ちの国語辞典を紐解いてみると、

 

『①(打ち消しの言い方や否定的な意味の表現を伴って)

 まったく、まるっきり。 「-読めない」「ーだめだ」

②すっかり、ことごとく。 「心はーそれに集中していた」△打ち消しを伴わない。

②の使い方は現在文章語としてはほとんど使わない。

 会話などで「断然」「非常に」の意に使うこともあるが、俗な用法。』

 

 とあった。現在はほとんど使用されていないとはいえ、否定を伴わない使い方も正しいということがよくわかる。漱石や独歩は「すっかり」の意で使用していたのだから誤りではないのである。しかし今若者が使っているのは「断然」という意味の、まだ文法的には認知されていない俗語なのでこれはまた別である。

 

 正しい正しくないは、たとえネイティブでも自分の経験だけで判断してはいけないことがこれでお分かりいただけただろうか。

 

 コンビニでキャッシャーが言う。「5000円からお預かりします。」「まず大きいほう3000円お返しします。」「これでよろしかったでしょうか?」 

これは正しい日本語か?外国人が言う。「日本人がいつも使っているから正しい。」「私は小さい時から日本で育ったから正しいと断言できる。」

 

 他にも似たような英文法に関しての議論をよく見かけるが、ネイティブが使用しているからって安心は禁物。まあ、言葉は生き物であるから、正しい、正しくないは絶対的なものではないけれど。

 

 さて、you tooか、me tooか?文法講座を開くのはここでの趣意ではないので(というか自信を持っていえるほどの語学力は私にはない。(^^ゞ)ご興味を持たれた方はぜひ検索サイトでお調べください。

 

 いずれにせよ、「I love you.」と言われたら、略せずに「I love you,too.」としっかり返したいものだ。(そういえばalsoが正しいと主張している人もいたなあ。)

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