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 もてなすということ

更新日時:

2005/07/25 

 アメリカの家はまず、ドアを開けると、来客用のソファが突然目に飛び込んでくる

。外とうちを完璧に区別し、玄関からは中が全く見えない日本の家とは大違いだ。(昔の下町もドアを開けるとそこは茶の間だったそうであるが。)そこには外部との垣根が全くないように見える。しかし、そのソファはあくまでも来客用。ファミリールームのソファはもっと奥にある。うがった見方をすれば、家の中にゲストルームという堤防を作り、そこに客を閉じ込めておくという陰謀の匂いを感じないこともない。

 

 ま、それは冗談だ。たいていのホストは突然の来客にも動じない。「電話してきてから来てよ~。」等とあわてふためたりしない。「家が散らかっているから恥ずかしい。」などと悩んだりしなければ、何か客をもてなすデザートはないかと冷蔵庫や戸棚を必死で探し回ったりはしない。日本人のように最大限のもてなしをしなければならないという悲壮感は彼らには全くないのだ。

 

 初めて行く家ではホストがよく家ツアーをしてくれる。彼らは嬉々として家中を案内してくれるのだ。「シンプル イズ ビューティフル」という発想のないアメリカ人の家は本当にきれいにこまごまと飾りたてられている。特にゲスト用のバスルームは感動ものだ。それは小物にも言える。シャンプーの容器ですらかわいい。

 

 ゲストをもてなすということは、自分たちのいいところを見せるために最大限の努力をすることではない。お客に気持ちよく、家にいるときと同じようにくつろいでもらいたい。私たち日本人はそもしかしたらそういう基本を忘れているのかもしれない。

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