着物へのこだわり
更新日時:
2004/10/28
実は私は着物が好きだ。長年茶道にも親しんできたので、私の着物を着る回数は、おそらく同年代の女性の平均を遥かに上回ることであろう。着付け教室にも通い、講師の資格も取った(はっきり言ってあまり意味のないものであったが。)ので、着物の種類やTPOについてもある程度心得ているつもりだ。
実は私は海外でも着物を着たことがある。いずれもパーティでの席上であった。
今から9年くらい前でのこと。訪問着には通常、袋帯を二重太鼓の形に結ぶのだが、この時はもっと華やかにしようとふくら雀にすることにした。
ふくら雀を他人の背中で結ぶのはお太鼓より難しくはない。しかし、自分で結ぶのはちょっと大変である。しかも、私はそんな結び方が似合う年はとっくに過ぎていたので、(あ、TPOを心得ているといったのと矛盾してるなあ。すみません。)この数年やったことがない。でも何とかなるだろうと思ったのが間違いで、もう汗だくの大変さであった。
ここで私は思った。「幸運なことに、上手にできなくても誰もわからない。」しかし、こうも思った。「不幸なことに、こんなに一生懸命きれいに着ようとがんばっても誰もわかってくれない。」彼らには自国の民族衣装を自分で着付けるのがこんなにも大変な国民が存在するということは理解不能であろう。
2年前、我が家の生徒が私たちの斡旋でアリゾナに1ヶ月ホームステイした。そのときの写真を見て私はのけぞった。ステイ先の娘が浴衣を左前に来ていたのだ。浴衣を土産に持参した生徒はすぐに変だと気がついたらしいのだが、英語で何と言っていいのかわからず、そのままになってしまったとか。
よく成田や浅草の外国人向けの土産店で、ポリエステルのつんつるてんの着物、というより寝巻きに近いものが売られているが、あれを着物だと思われるのはつらい。私は現にパーティで「日本の着物」と宣伝しながらNARITA着物を着ている外国人を見た。「いや、あれは違うんです。」とムキになって釈明する私も見苦しかったとは思うが、「でも外国だからあれでいいのよ。」などと外国人のアナタには言われたくなかった・・。
ともあれ外国では着物はなぜか大人気だ。今回のパーティでも私はたくさんの人から一緒に写真をと頼まれ、つかの間のスター気分を味わった。皆興味深々。着物、帯、小間物などを指しながら「この中でどれが一番高いの?」などと驚くようなな質問もされたし、「何枚重ね着しているの?」などと袖の中を覗きこむ人もいた。帯などは触られまくれ、「あの~手は洗ってあるのでしょうか?」と思わず聞きたくなることも2度3度。
着物は重い。しかも嵩張る。1回しか着なくても1式持っていかなければいけない。はっきり言って旅行に持っていくのは大変だ。でも、楽しいよ~。皆さんも機会があればぜひ挑戦してみて。