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旅に英語は必要か?

 私の最初の海外旅行は、ヨーロッパ周遊のパッケージツアーであった。添乗員付き、ホテルもレストランも土産店も、日本人が多く利用する場所なので、「白ワインプリーズ。」で通じてしまう。この時は「なんだ、英語って必要ないじゃん。」と本気で思っていた。

 

 翌年、今度は添乗員無し、ツアー客4人だけのイタリア旅行に単独で参加して、私の考えは一転する。この旅で私は実に多くの人と出会った。パッケージでは味わえない旅の楽しさを知ったのだった。反面、自分の語学力の無さが身にしみた。もし、英語が話せたら、もっといろいろな話ができたのに、と今更ながら自分の勉強不足を悔やんだ。

 

 それから3ヶ月。私はついに英会話スクールに入る決心をしたのである。

 

 その翌年のスペイン旅行での楽しさは想像以上だった。ほとんど英語の通じない国ではあったが、あちこちで知り合う観光客との会話は私を有頂天にさせた。それ以来、個人旅行を重ねるにつれ、英語が旅を何倍にも楽しくするということをますます実感していくのである。

 

 旅に英語は必要かどうかは、それぞれの価値観によると思う。私の知り合いは片言の英語だけで、どこにでも行く。宿の予約等したこともない。内戦の激しいアフリカの地やインドの山奥を通りながら1年も旅をするのだからすごいものだ。最も、これだけ歩いていれば英語も自然と上達していくようであるが。

 

 確かに何の問題もなく旅をしていれば、語学は必要ない。皆が一生懸命理解しようとしてくれるし。しかし、英語が威力を発するのはトラブルに出会った時だ。クレームは正確に、そして強力に付けるのが望ましい。もしかしたら電話をする必要も出てくるかもしれない。また、英語ができれば、英語の観光ツアーに参加でき、2割増しの日本語コースを申し込まなくて済む。航空会社だってクレーム付けた順に便宜を図るという噂だし。

 

 一緒に旅行する人が話せるから大丈夫と思っている人。それは大きな間違いだ。4日くらいの観光であればそれでいいかもしれないが、10日もいたら、お互いにいらいらしてしまうこと請け合いだ。できる方は「私ばっかり働いて。なんでこんなことまで私が通訳しなければいけないの?」と思い始めるし、頼る方は頼る方で「少しくらいできるからって偉そうに。」とつい思ってしまう。意地悪されている気さえしてくるかも。まあ、それはどんな関係かによっても変わってくるが。

 

 と言うわけで、やっぱり英語が話せると、旅は10倍楽しいし、トラブルの時の保険にもなるというのが私の持論である。

 

 え?言語を勉強しなくて済む英語圏の人が羨ましいって?それは絶対違う。彼らは内緒話ができない。私たちのように交渉の途中、日本語で「どうする?この人信頼できると思う?ちょっと怪しいよね。やっぱり断ろうか。」とか「見て!あの人絶対変。」などという会話ができない。内輪話が筒抜けの気の毒な人たちなのだ。

update:

2004/09/01

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